「くじらぐもの教材としての特徴は何だろう?」
低学年の物語はとても短く、分かりやすい文で書かれています。
ですから、大人の私たちが意識せずに読むと、特徴に気づきにくいですよね。
今回は、「くじらぐも」(なかがわりえこ 作 光村図書出版『こくご一年下』)の教材分析です。
この「くじらぐも」という教材の特徴はズバリ、コレです。
お話の中に自分たちが入り込めること
この「くじらぐも」というお話の中心人物は、「子どもたち」なのです。
特定された〇〇くん、△△さんではなく、「子どもたち」であること。
そこに、くじらぐもならではの特徴があると思います。
「くじらぐも」の学習のねらいは、
登場人物のしたことや言ったことを思い浮かべながら読むこと
です。
このねらいにぴったりな教材と言えますね。
具体的に教材の特徴を解説していきますね。
設定がとても身近である
「くじらぐも」の設定は、学校で学習している子どもたちにとって非常に身近なものとなっています。
1年2組の子どもたち、四時間目、体育の時間、空に浮かぶ大きな雲。
これほど場面設定が想像しやすいものはありません。
だって、ほとんど毎日、経験していることですから。
ここからだんだんと雲に乗って大空へ旅立つというファンタジーな世界へと進んでいきますが、入り口は、子どもたちの日常そのものです。
この身近な設定によって、子どもたちは物語の世界をより近く感じることができるでしょう。
これほど子どもたちにとって身近なお話はありません。ここをぜひ生かしましょう。
物語の世界へ入り込みやすい
さらに「くじらぐも」の中心人物は「子どもたち」です。
特定された誰かではないんです。
身近な場面設定、特定されていない男の子も女の子もいる「みんな」という登場人物設定によって、読んでいる子どもたちは自分たちが物語の中の主人公になれるのです。
実際にお話の中に入り込んで、「ぼくはここにいるよ」と言ったり、実際に運動場で空を見上げてくじらぐもを探したりします。
身近に感じるどころか、実際に自分が物語に入り込める。
この大きな特徴を生かしたいですよね。
追体験しやすいセリフと行動
さらに、人物たちが物語の中でしていることやセリフに注目してみます。
・手をつないで、まるい輪になってジャンプ
・歌を歌う
・ジャングルジムで手を振る
「おうい。」
「ここへおいでよう」
「天までとどけ、1、2、3」
「もっとたかく。もっとたかく」
「さようなら」
どの行動もセリフも子どもたちがやりやすい、口ずさみやすいものになっていますよね。
設定されている時間も場所もすぐ身近にあるもの、行動もセリフもマネできるようなものばかりです。
低学年の子どもたちなら、当然、マネしたがります。
実際に物語の中の子どもたちのマネをすることで、追体験することができる。
つまり、物語の中に入っていくことができるのです。
自分が物語の中の人物の1人になれる行動とセリフ。
これも「くじらぐも」の大きな特徴であり、魅力ですよね。
子どもたちが物語の世界に入り込めるような仕掛けがたくさんありますよね。
まとめ
今回は、「くじらぐも」の教材分析についてお話してきました。
「くじらぐも」の教材としての特徴は、
・設定が子どもたちにとってとても身近であること
・物語の世界へ入り込みやすいこと
・追体験しやすいセリフと行動であること
です。
「くじらぐも」を扱った学習のねらいは、
登場人物のしたことや言ったことを思い浮かべながら読むこと
です。
自分たちが物語の世界に入り込み、そこで見えるもの、聞こえるもの、考えたことを学習の中心とすることで、場面の様子や登場人物の言動を具体的に思い浮かべることができると思います。
小学校低学年が物語の世界を想像することにこれほどぴったりな作品はないですね。
物語の世界に入り込んだ子どもたちにどんな世界が見えているか、楽しみですよね。
小学校国語で扱う他の作品の教材分析も行なっています。
教材研究を進めて授業をもっと魅力的にしていきましょう。
コメント
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